専門学校卒の留学生は「翻訳・通訳」でビザが取れるか
日本の専門学校を卒業し、専門士の称号を付与された留学生に係る「翻訳・通訳」業務事例について。
日本の専門学校を卒業して専門士の称号を付与された留学生が、「翻訳・通訳」業務に従事するため「技術・人文知識・国際業務」への変更許可申請を行うケースがあります。しかし「文化教養」の専門士や「商業実務」の専門士などでの申請ですと不許可になるケースも非常に多いのが現状です。大卒でなく専門学校卒の場合、以下の点に十分注意して検討する必要があります。
・専修学校における専攻科目との関連性が「翻訳・通訳」業務と適合するか?
・実際に翻訳・通訳業務に従事することができるだけの日本語能力を有しているか?
・就職先に翻訳・通訳を必要とする十分な業務量があるか?
上記を証明するため、日本語能力を有することの証明のほか、何語と何語間についての翻訳・通訳を行うのか、どういった業務がどのくらいあるのか等、申請に際し、しっかり説明する必要があります。
専修学校における専攻との関連性としては、履修科目に「日本語」に関連する科目が相当数含まれている場合であっても、留学生が専門分野の科目を履修するために必要な専門用語を修得するための履修である場合や、日本語の会話・読解・聴解・漢字等、日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるもの、同一の専門課程において、日本人学生については免除されている(日本人が履修の対象となっていない)ような「日本語」の授業の履修については、翻訳・通訳業務に必要な科目を専攻して卒業したものとは認められません。
法務省ガイドラインの下記、許可事例及び不許可事例をご参考にしてください。
許可事例
- 翻訳・通訳学科において、通訳概論・言語学・通訳演習・通訳実務・翻訳技法等を専攻科目として履修した者が、出版社において出版物の翻訳を行うとして申請があったもの。
- 国際ビジネス学科において、貿易論・マーティング等の経営学に係る科目を中心に履修しているが、ビジネス通訳実務・ビジネス翻訳実務・通訳技巧などの翻訳・通訳に特化した科目を専門科目において履修した者が、商社の海外事業部において、商談の通訳及び契約資料の翻訳を行うとして申請があったもの。
- 国際教養学科において,卒業単位が70単位であるところ、経営学・経済学・会計学等のほか、日本語・英語・ビジネス文書・ビジネスコミュニケーション等文章表現等の取得単位が合計30単位認定されており、日本語能力試験N1に合格している者が、渉外調整の際の通訳を行うとして申請があったもの。
不許可事例
- CAD・IT学科において、専門科目としてCAD・コンピュータ言語・情報処理概論等を履修し、一般科目において日本語を履修したが、日本語の取得単位が、卒業単位の約2割程度しかなく当該一般科目における日本語の授業については留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るものであるとして、不許可となったもの。
- 国際ビジネス専門学科において、日本語・英語を中心とし、経営学・経済学を履修したが、当該学科における日本語は日本語の会話・読解・聴解・漢字等、日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるものであり、通訳・翻訳業務に必要な高度な日本語について専攻したものとは言えず不許可となったもの。
- 国際コミュニケーション学科において、日本語の文法・通訳技法等を履修した者が、新規開拓を計画中であるとする海外事業分野において、日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが、申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ、日本語科目全般についての成績はすべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり、その他日本語能力検定等、日本語能力を示す資料の提出もないことから、適切に翻訳・通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。
- 通訳・翻訳専門学校において、日英通訳実務を履修した者が、ビル清掃会社において、留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが、留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり、通訳の必要性が認められず、またマニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく翻訳についても業務量が認められず不許可となったもの。
- 翻訳・通訳専門学校において、日英通訳実務を履修した者が、翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、稼働先が飲食店の店舗であり通訳と称する業務内容は英語で注文を取るといった内容であり、接客の一部として簡易な通訳をするにとどまり、また翻訳と称する業務がメニューの翻訳のみであるとして業務量が認められず不許可となったもの
- 日本語・日本文化学科を卒業した者が、人材派遣及び物流を業務内容とする企業との契約に基づき商品仕分けを行う留学生のアルバイトが作業する場所を巡回しながら通訳業務に従事するとして申請があったが、その具体的な内容は、自らも商品仕分けのシフトに入りアルバイトに対して指示や注意喚起を通訳するというものであり、商品仕分けを行うアルバイトに対する通訳の業務量が認められず不許可となったもの。