「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」の中間取りまとめ

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厚生労働省が「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」の中間取りまとめを公表しました。この検討会は、我が国の労働市場の動向や、その中における外国人雇用の状況を確認しつつ、アフターコロナも見据えた外国人雇用の在り方とその対応策について、具体的な方向性を議論することを目的として、厚生労働省職業安定局長が公労使の構成員の参集を求めて開催したものです。

中間取りまとめのポイント

(1)我が国労働市場への外国人労働者の包摂の状況や国際的な労働移動を適切に把握し、エビデンスに基づいた外国人雇用対策を講じるべき。

本検討会では、国内労働市場における外国人労働者の状況について、統計データによる客観的な把握に努めた。既存の統計やそれに基づく分析から、新型コロナウイルス感染症禍において、外国人労働者は、日本人労働者と比較して、離職しやすく再就職しにくいのではないかという課題が浮かび上がり、また、在留資格によって雇用状況に様々な違いがあることが明らかになった。しかし、外国人労働者と日本人労働者との比較を行うための客観的な情報の把握については、多くの課題がある。

 また、国際労働移動は送出し国と受入れ国の経済発展段階を踏まえた構造的なものであり、欧米、湾岸諸国を含めてグローバルに行われている。外国人労働者は、送出し国の経済水準や教育水準を背景に、それぞれの学歴に応じ、様々なルートにより就労や留学先となる国を選択している。日本もかつては送出し国であったが、現在は受入れ国となっているように、社会経済状況の変化が、国際労働移動に変化をもたらす。このため、外国人労働者の雇用対策の検討にあたっては、国際労働移動の観点から、送出し国側の視点や、他の受入れ国との比較も踏まえた広い視野による検討が求められる。

 外国人労働者をめぐる問題については、エピソードベースの情報にとどまらず、国内外の労働市場の動向の全体像をエビデンスに基づき客観的に把握し、取り組むべき課題や優先順位を明確にすることが求められる。その上で、我が国の労働市場における包摂の状況や国際的な労働移動のありようを適切に把握し、労働市場が円滑・適正に機能するための方策を検討していくことが必要である。また、検討にあたっては、多様なステークホルダーの参画を図るとともに、議論の過程を公開し、日本人、外国人双方に周知されるべきである。

(2)コロナ禍で起きている複層的な課題を解決するために、関係機関が得意とする分野を生かして、連携して対応していくべき。

新型コロナウイルス感染症禍に伴う入国や行動の制限等による経済への影響により、外国人労働者の雇用は、若年労働者や女性労働者等と同様、様々な影響を受けていると考えられる。他方で、外国人労働者は、その在留資格・国籍、所属する職場やコミュニティの多様性を背景に、外から見えにくい形で窮状に陥っている場合があると考えられる。困窮する外国人の中には、行政からの情報が届かず、自ら支援を求めることも難しい者がいると考えられるため、困窮する外国人を可視化し、教育や福祉、人道上の観点も含めて適切にアウトリーチを行うなど、様々なチャネルからの支援が必要である。

 こうした状況下では、関係諸機関が連携して、解決に向けた取組を進めていくべきである。例えば、公共職業安定機関であるハローワークと、地域や家庭に対するアプローチを得意とする福祉・教育機関や、民間の支援機関といった様々な機関がそれぞれのリソースを持ち寄って対応することが必要である。
 また、これまで、外国人労働者については、在留資格別の管理という視点が強かったが、新型コロナウイルス感染症禍という全世界的な危機の中においては、どのような在留資格、国籍であっても、それぞれの特性に留意しつつ就労支援等の労働市場への包摂を図ることが必要ということが明らかとなった。このためには、日本人と同様に、労働法遵守と人権の擁護、各種行政サービスへのアクセスを確保するとともに、外国人労働者がその有する能力を最大限に発揮するという観点から、労働市場が機能するための円滑かつ適正な職業紹介と採用、労働者のスキルの適正な評価等を確保することが重要である。また、外国人の幸福追求という観点も重要である。

(3)日本と母国の文化ギャップの克服や、専門的・技術的分野の外国人労働者の長期キャリアを前提とした就労環境を整備していくべき。

外国人労働者の職場・地域への望ましい定着の在り方を考える上では、外国人と日本人の文化ギャップや認識の相違が原因でトラブルが生じることが多い。例えば、外国人労働者の採用の場面では、企業が業務内容にかかわらず日本人と同等のコミュケーション能力を求める一方、外国人労働者が母国の雇用慣行を前提とした働き方を希望することなどによるミスマッチや、職場におけるコミュニケーションの場面で、日本人特有の言い回し等への認識の相違が原因でトラブルが生じることがある。

 外国人の職場への定着のためには、外国人に対して日本の職場への理解を深めることを求めるのみならず、受入企業側に対しても外国人が働きやすい雇用環境を整備するよう働きかけ、両者のギャップを埋めることで、円滑な関係を構築できるような取組が進められるべきである。
また、留学を経て専門的・技術的分野の在留資格を取得する者は増加傾向にある。これら在留資格は、更新に制約がなく、日本に長期間滞在することを前提としていることから、在留資格の変更を含めた多様なキャリアを実現するための支援が行われるべきである。加えて、外国につながる子どもについても、労働市場や地域社会への包摂という観点から、適切な能力開発と在留資格の取得を通じ、自己実現を図ることができるよう、適切なキャリア形成支援を行っていく必要がある。

(4)外国人雇用対策は、我が国の雇用や労働市場の質を向上させるという積極的な視点をもって推進するべき。

これまで述べた外国人労働者をめぐる課題の諸相をみると、外国人が抱えやすい課題がある一方で、我が国の労働市場の課題を反映している面がある。このため、外国人労働者に対する支援は、現下の状況を踏まえた特別な対応としての意味に留まらず、広く我が国の雇用や労働市場の質を向上させていくという点で、アフターコロナに向けての積極的な意味を持ちうるものである。

 

詳しくはこちらから(厚労省HP

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