外国人実習生に関する監督指導と技能実習制度の見直し

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本年の入国管理法の改正に伴い、外国人技能実習制度等の見直しが行われます。日本の労働人口は、少子化や人口減少により、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱も減少するといわれており、今回の入管法の見直しは、政府が労働力不足への対応としての在留資格見直しに大きく踏み出すことを意味しています。

「技能実習」について、外国人実習生を受け入れる企業に対して行われた全国の労働局や労働基準監督署による監督指導の状況によると、監督対象事業場・違反事業場は年々増加しており、平成29年は、実習実施者(企業)に対して5,966件の監督指導が実施され、4,226件(70.8%)で労働基準関係法令違反が認められました。

主な違反としては、・労働時間(26.2%)・安全基準(19.7%)・割増賃金の支払(15.8%)・就業規則(9.2%)・労働条件の明示(9.1%)などとなっています。重大・悪質な労働基準関係法令違反により34件が送検されています。技能実習生の増加に伴って、監督・指導にも力が入れられ、その数も増加が予想されます。

技能実習生から労働基準監督署などに対して労働基準関係法令違反の状況が申告されることもあります。技能実習生同士のつながりにより、賃金や割増賃金の不払いがある等の情報は広まりやすいと思われます。また、こうした申告は、労働基準監督署に対するものだけではなく、出入国管理機関(各地の入国管理局)に対しても行われ、それが労働局・監督署へ通報されて監督等につながるケースもあります。技能実習制度の違反等に対するペナルティとして、実習生の受入れの停止等が行われますので、企業活動に大きく影響します。

新しい制度が始まれば、それに伴って企業への監督等も厳しくなることが予想されています。また、労基法・安衛法関連だけでなく、技能実習制度自体に定められている報告や手続きについても、新制度の下で見直しが行われると思われます。外国人雇用・技能実習生の受入れなどを検討する企業は情報に注意しておきましょう。

【厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)」】

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