Q&A⑭:在留資格の取消しに関するご相談

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在留資格の取消とは?

一度付与された在留資格が取り消されることがあるそうですが、どんな場合ですか?

 法務大臣が在留資格を取り消すことができる場合は、大きく分けて次の4種類があります。
(1)偽りその他不正な手段により許可を受けた場合
(2)本来の在留資格に基づく活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとしている場合
(3)本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合
(4)中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合

1つ目の「偽りその他不正な手段により許可を受けた場合」とは、どのようなケースですか?

 偽りその他不正な手段により許可を受けた場合とは、上陸の申請や在留期間の更新の際に、偽変造された文書や資料を提出したり、申請書に偽りの記載をしたり、偽りの申立てをすること等によって、許可を受けた場合が当たります。

2つ目の「本来の在留資格に基づく活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとしている場合」とは、どのようなケースですか?

 本来の在留資格に基づく活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとしている場合とは、別表第1の在留資格をもって在留する者が、正当な理由なく、本来行うべき活動を行わず、かつ他の活動を行い又は行おうとして在留している場合が当たります

3つ目の「本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合」とは、どのようなケースですか?

 本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合とは、次の場合が当たります。ただし、活動を行わないことについて正当な理由がある場合は、在留資格の取消しの対象とはなりません。

①入管法別表第1の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「留学」、「家族滞在」等)をもって在留している外国人が、その在留資格に基づく本来の活動を継続して3か月(「高度専門職2号」は6か月)以上行っていない場合

②「日本人の配偶者等」(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」(永住者の子として本邦で出生した子を除く。)の在留資格をもって在留している外国人が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合

「技術・人文知識・国際業務」「留学」の在留資格をもっている外国人が、在留資格に係る活動を3か月以上行っていない場合でも、「正当な理由」があるときは、在留資格は取り消されないとの話を聞きましたが、ここでいう「正当な理由」とは、どのようなものでしょうか?

 「正当な理由」の有無については、個別具体的に判断することとなりますが、例えば、次のようなケースについては、「正当な理由」があるものとして在留資格の取消しの対象とはならない場合があります。

(1)稼働先を退職後、再就職先を探すために会社訪問をするなど具体的な就職活動を行っていると認められる場合
(2)在籍していた教育機関が閉校した後、他の教育機関に入学するために必要な手続を進めている場合
(3)病気治療のため長期間の入院が必要でやむを得ず教育機関を休学している者が、退院後は復学する意思を有している場合
(4)専修学校を卒業した留学生が本邦の大学への入学が決定している場合

「日本人の配偶者等」の在留資格をもって日本に住んでいる外国人が、在留期間の途中で、日本人と離婚したなどの後に、その配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合でも、「正当な理由」があるときは、在留資格は取り消されないとの話を聞きましたが、ここでいう「正当な理由」とは、どのようなケースを言いますか?

「日本人の配偶者等」(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」(永住者等の子として本邦で出生した者を除く。)が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合でも、その活動を行わないで在留していることについて「正当な理由」があるときは、在留資格の取消しの対象とはなりません。
「正当な理由」の有無については、個別具体的に判断することとなりますが、例えば、次のようなケースについては、「正当な理由」があるものとして在留資格の取消しの対象とはならない場合があります。

(1)配偶者からの暴力(いわゆるDV(ドメスティックバイオレンス)を理由として、一時的に避難又は保護を必要としている場合
(2)子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居しているが、生計を一にしている場合
(3)本国の親族の傷病等の理由により、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により長期間出国している場合
(4)離婚調停又は離婚訴訟中の場合

最後に、4つ目の「中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合」とは、どのようなケースですか?

 中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合とは、次の場合が該当します。ただし、①及び②について、届出をしないことについて「正当な理由」がある場合は、在留資格取消しの対象とはなりません。

①上陸の許可や在留資格の変更許可等により新たに中長期在留者となった者が、90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合
②中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に対し住居地の届出をしない場合
③中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合

 中長期在留者の方が、住居地の届出をしない場合でも、「正当な理由」があるときは、在留資格は取り消されないとの話を聞きましたが、本当でしょうか。

 上陸許可若しくは在留資格の変更許可等により新たに中長期在留者となった者が、当該許可を受けてから90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合又は中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に対し新しい住居地の届出をしない場合でも、住居地の届出を行わないことについて「正当な理由」があるときは、在留資格の取消しの対象とはなりません。
「正当な理由」の有無については、個別具体的に判断することとなりますが、例えば、次のようなケースについては、「正当な理由」があるものとして在留資格の取消しの対象とはならない場合があります。

(1)勤めていた会社の急な倒産やいわゆる派遣切り等により住居を失い、経済的困窮によって新たな住居地を定めていない場合
(2)配偶者からの暴力(いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス))を理由として避難又は保護を必要としている場合
(3)病気治療のため医療機関に入院している場合等、医療上のやむを得ない事情が認められ、本人に代わって届出を行うべき者がいない場合
(4)転居後急な出張等により再入国出国した場合等、再入国許可(みなし再入国許可を含む。)による出国中である場合
(5)頻繁な出張を繰り返して1回当たりの本邦滞在期間が短いもの等、在留活動の性質上住居地の設定をしていない場合

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